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2016年2月

蔵見学2016「山和酒造店」

2月半ば過ぎの蔵見学は、加美郡加美町の「山和酒造店」さん。
早坂久美さんにお声掛けいただいて、伺うことができました。
前回はいつだったかな~と自分のブログを振り返ってみると、
2009年2月。なんと、7年前!
ひゃ~、めちゃめちゃ久しぶりです。。。

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迎えてくださったのは
山和酒造店7代目蔵元の伊藤大祐さん。
最初にお話をいろいろ伺ったのですが、
面白かったのが、お酒の甘さの話。
近年の日本酒のトレンドとして、やや全体的に甘めな酒が
好まれている傾向です。
といっても、宮城県は比較的ドライなお酒が多いと思うのですが
その中にあっても特に山和さんのお酒は、大吟以外はけっこうドライ。
かなりすっきりタイプで強く主張する香りもありません。
伊藤さん自身の酒の好みも、
昔から変わらずで、はっきりしていて
自蔵の酒とかけ離れたタイプをおいしいと思うことはほとんどないそう。

「熟成だめ、生ヒネダメ、カプロン酸系の香りも好きじゃない。
日本酒に対しての許容範囲はめちゃめちゃ狭い」
そうです(笑)。
「酒って、絶対食べながら飲むじゃないですか。
そのほうが体にもいいですし。
おいしいものを食べて、いっしょにお酒を楽しむのが
いちばん健全な形だと思うんですよね」。

 

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その一方で、好みとは別に
完成度が高い酒が好き。『こういうものが造りたい』と意図して
造ってることが分かる、そういうお酒を造っている方たちはすごいなと思います」。

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今期からの洗米器(部分)。
最新型だそうですけど、ほぼ原形とどめてないそうです。
内側の配管を増やしたり、水流の強さを変えるためにノズルを変えたり
中が見られるようにしたり、水抜き用のバルブを付けたり。
とにかく、いろいろ切ったり、穴開けたり、溶接したりして改造したそうです。
なんか、このまま
新商品として売りだせそう(笑)
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麹の大箱。麹は大吟用もすべてこれで造るそう。
スタイロフォームという、断熱材製です。
写真がないのですが麹を引き込む「床」のところも
この断熱材で囲ってありました。
麹づくりの最初の段階で乾燥させ過ぎないようにするのに
とてもいいそうです。
この大箱も、センサーとか換気扇を買って
特注で作ってもらったと話されてました。
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仕込み蔵。

ここで私が印象的だったのが
伊藤さんがもろみを観察する様子。
うまく表現できないのですが、
「生き物をお世話する感」をとても感じました。
ちょっとした変化に、ひとりごとをぶつぶつ言ったり
元気がないのを心配して、その後蔵人さんをつかまえて確認したり。
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分析室 も新しくなったところです。
最近、分析機械、力を入れてる蔵が増えた気がします。

冷蔵庫は-2℃とか、-3~4℃とか、
全部で4つあるそう。
以前の見学の時に「造ったあとの貯蔵は何でも同じ冷蔵庫に
いれればいいっていうのはもうダメで、蔵ごと競争のレベルが
そういうところまで来ている」と伊藤さんが話されていたのを
思い出しました。
あのころは、へぇ…なんて思って聞いてたけれど
実際、今そうなってますよね。


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最後に、3種類をきき酒させていただきました。
左の特別純米が、ごく微かに苦味を感じるくらいにかたく感じて
これは新酒ですか?と聞いたら、26BY(前期)との答え。
びっくりして「熟成感のかけらもないですね!」と言うと
伊藤さん、ふっと笑って
「それがうちの酒の良さです」とひと言。
なるほどな~!
いちばん右の純米大吟醸は確かにはんなりとした甘さは感じます。が
特別純米と純米吟醸は、冷たくしてあると
少しそっけなく感じるほどのドライさ。
それが、常温に近づいてほどけてくると
ほんのわずか、やさしい感じが出てきてそれが心地よい~。

今回の蔵見学でいちばん印象的だったのは、
既存の機械や道具の機能に妥協せずに、
自分たちの納得いく作業ができるよう工夫や改良をするこだわり。
お酒自体は今の甘さへ向かうトレンドとは真逆に近いけれど
けっしてマニアックじゃない。
造りは目指す酒質に向かって流されず、
ブレずにやっていらっしゃると感じました。
うーん。上手く書けなくてもどかしいのですが。。。


なんか、ガンコさ、ブレの無さがいいじゃないですか!
そして、食中酒LOVEな私には、大歓迎です!

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またまた宮城の蔵元の底力を感じた見学でした。
お忙しいなか、たくさんお話してくださった伊藤さん、
テンドしていただいた、早坂久美さん、
どうもありがとうございました!

蔵見学2016「蔵王酒造」その2

 
蔵王酒造さん蔵見学、その2です。
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ここは2年前、蔵見学にお邪魔した時、麹室だった場所。
現在は一角を枯らし場として使われてます。
以前はここに大きな自動製麹器がありました。
(今もありますが麹づくりには使われていない)

前回の時に〝設備を新しくすることを検討している〟
というお話が大滝さんからあったのですが、

それがこちら! じゃじゃーん!

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中にいらしたのはちょうど麹の仕事をされていた副杜氏の金子純平さん。

この新しい麹室、酛屋さん(酒母担当の蔵人さん)に作ってもらったのだそうです。夏場は大工をしている方だと聞いて納得~。

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温度差でレンズが曇ってしまったので、若干霞んでますね^^;

この麹の箱(簡易送風機付き大箱)も手づくり。
麹室を新しくすると木香が心配されるのですが
箱自体は2年前に作ってあったものだそうでして
その間に木の香りがかなり飛んだようで
今のところ影響はないそうです。

そして、金子さんが青い手袋をされていますが
これは不必要な菌が入り込むのを少しでもなくすように、
2月初めから手袋をして麹仕事をやり始めたとのこと。
同じ県内の某蔵元さんから教えていただいたそうです。
ただ、素手と違って温度が実際より低く感じるため
温度計をしっかり確認しながら麹仕事をされているとのことでした。

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種麹をふる場所は、使う米の質によって
室に引き込んでからふる場合、放冷機でふる場合と変えているそう。

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もろみを搾る機械、ヤブタの濾板も今期新しくされたとのこと。
プラスチックとシリコン製のものにして
俗に言う「ヤブタ臭」が付く心配や気遣いがなくなったそう

そして良かった点がもう一つ。
おり切れが良くなって搾りのスピードが上がったとのことです。

搾ったばかりのお酒(美山錦 55%精米)をきかせていただきましたが
ピン!として、それでいてジュワッとしたうまみが奥にひそんだ、
なんともきれいなお酒でした~! 楽しみ~!

搾って火入れまではだいたい1週間、
どんなに遅くても2週間以内には行っているそう。
これも近年の蔵王がフレッシュになった理由のひとつですね。

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分析室。
こちらも新しい機械を導入したおかげで
酸度、アミノ酸度、日本酒度、アルコール度数など
分析にかかる時間がぐっと短縮して楽になったそうです。

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最後に限定商品(ココロシリーズ)をきき酒させていただきました。

左上から
爽やかな香りが特徴的な蔵王純米吟醸K。
穏やかな香りでほどよく旨みのある蔵王純米酒K。
左下が
すっきりきれいでバランスの良い特別純米酒K。
凛とした印象が際立つZAO Inspiration。

きき酒しながら大滝さんに伺った中で印象に残ったのが
年末から年始にかけて、1回仕込みをストップして
瓶詰め、出荷を蔵人含めて全員で行うというお話。
「酒を造ることは大切だけど、
瓶詰め、出荷という最終段階の大切さを

全員しっかり分かってることが必要だと思うんです」

 

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蔵王酒造さんにくると
若い方々が真剣に、でもいきいきとして
酒造りに向かい合っている姿にいつも心を打たれます。


大滝さんに、初めての杜氏としての感想を聞くと
「周りに助けられてます」と即答。
その言葉にまたまたおばちゃん心の中でウルウル。。。
周り、というのは、昨年までいらした杉浦杜氏、蔵人さんたち、
そして会社の方々を差しているのはもちろんですが、
おそらく、いろいろと情報交換されている
県内の他の蔵元さんのことも意識されての言葉と
受け止めました。
また、昨年11月、「穣りの宴」の時には
「無事に造りを終えることが、まずは目標」とおっしゃってました。

といいつつ今期は今期なりにチャレンジされていることもあるのでしょうが
体を壊さず、何事もなく、最後まで良い酒が造れますように~、と
またもやおばちゃん心で祈らずにはいられません。

そして、お会いしたことはないのですが
若い彼らに全面的に酒造りを任せている
蔵王酒造の社長さんもすばらしいと思います。
いつかお会いしてみたいです。

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造りでお忙しいなか、丁寧にご説明いただいてありがとうございました!

これから出てくる蔵王酒造さんのお酒も楽しみにしています!

蔵見学2016「蔵王酒造」その1

おひさしぶりでーす!
年1ペースになってしまった日本酒ブログです。
もう読んでいる人がいるんだかどうかもあやしいですが
とにかく更新したい時にする!(開きなおり)ことにしましたので
読みたい方は読んでくださいな…(トホホ)。

さて、2016年最初の蔵見学。

2月13日、宮城県白石市「蔵王酒造」さんへ伺いました。
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山も酒も蔵王!

大事なことなのでもう一度言いますよ。

山も酒も蔵王!

素晴らしいキャッチコピーですね!

蔵王酒造さんを訪ねるのは2014年以来2年ぶり。

今回もこのお方に案内していただきました。

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大滝真也さんです。

前回の時には蔵人として案内してくださったのですが
今期から「杜氏」として造りに臨んでいらっしゃいます。
あらあらまあ、ほんとに立派になって~ウルウル
…と、親戚のおばちゃんのような気持ちです。

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まずは原料処理についてのお話。
浸漬(米に水を吸わせる)のムラを無くすために
かなり気を遣って、いろいろと工夫されてる様子。

〝一麹二酛三造り〟とは
酒造りで大事なことの順番とよく言われる言葉。
でも大滝さんは「麹も酛も大事ですが、実は最初の浸漬が8割」
と、原料処理の大切さを話していらっしゃいました。
 
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仕込み蔵です。
広くて、タンクがたくさんありますが、
現在はこの半分くらいを使って仕込みをされてるとのことです。
 

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2トン仕込める大きなタンクなのですが
今はそれを使って1.5トン仕込む規模がメーンとのこと。
もろみの液面が通常より下がって冷えやすく
「それはうちの目指す酒質にとって都合がいいんです」
と大滝さん。
温度が急激に上がらないよう、ゆっくりじっくり酵母の発酵を促す。
それには健康な酵母が適正な量とスピードで増えることが大事。
そのために特に添え仕込みは慎重にやっているそうです。

〈ここで日本酒の発酵の仕組みについて少々〉

日本酒のもろみタンクの中では
微生物たちによる複雑な活動が行われています。
まず麹から出る酵素が、蒸米のでんぷんをブドウ糖に変えます。
すると酵母がその糖を食べてアルコールを出します。
ワインでも焼酎でも、酒は必ず
酵母が糖分をアルコールに変える働きが行われますが
同じタンクの中で糖化とアルコール発酵が同時に行われるのは
日本酒だけです。
これを
並行複発酵と言います。

もろみの温度が高めだと酵母は活発に発酵してアルコールを造りますし、
増殖のスピードも上がります。
すると何が起こるか。
仲間が増えすぎてギュウギュウになった酵母が苦しんだり
自分が造ったアルコールで死んじゃったりで
お酒に良くないにおいがついたり、雑味が出たりするのです。

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(こちらは酒母)

最初は冷やして強い酵母を育て、
そこから少しずつ温度を上げていきじわじわと酵母を増やし
ちょうどいいところでまたゆっくり冷やしていく。
酒母の段階からもそうした温度調整に神経を使っているそうです。

そのやり方を「酵母にやさしく」と大滝さんは表現。
 
なるほどな~。。。
無理が出ないよう大切に育てられた健康な酵母の発酵。
近年の蔵王の素直というか、衒いのない酒質の理由は
こんなところにもあるのだろうかと思いました。

長くなりそうなので、その2に続きます。

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